僕と君の夏休み
共通:「山遊び」
めも 山→虫とり、カレーつくり、肝試し(夏輝が皆に脅かされる)(泊まりだけど夜〜深夜にイベント終了)

BGM:"山の中"
背景:"森3"

降り注ぐ太陽の光を遮るかのように頭上に覆いかぶさる木々。

そして、木々の合間から優しく光の筋が俺たちを照らす。

耳を澄ませばセミの鳴き声と木々のざわめき、そして流れる小川のせせらぎが清らかなハーモニーを奏でている。

これぞ、山!

まさに、山!

都会じゃ感じられないα波が俺を優しく眠りの世界へ誘う……

紗耶 「永遠の眠りにつかせてあげようか?」

夏輝 「眠っちゃだめー☆」

もも 「めー☆」

この展開……どこかでやったような。

というわけで、俺たちは乙杯山を登っています。

夏輝 「ところで、だ」

紗耶 「何?」

夏輝 「このクソ重い荷物はなんなんだ」

あやめ 「キャンプに必要な道具よ。それ持っていかないと寝られないのよ」

なんですと?

夏輝 「キャンプ? 寝る?」

もも 「今日は皆でキャンプだよー」

「わーい。キャンプなんてはじめてです〜」

夏輝 「ちょっと待て。俺は聞いてないぞ」

山で遊ぶからついてこい。紗耶は確かにそう言った。

紗耶 「男なんて着替えも何もいらないでしょ」

夏輝 「まあ、そりゃそうだが」

よくよく見れば、皆ちゃんとそれなりの荷物を持っている。

なぜか清理さんはいつものように巫女服なんだが。

清理 「わっちは修行も兼ねるつもりじゃからな。いついかなる時でもこの装束は外せぬ」

そういう問題ですか。

で、俺だけ手ぶらだったということで、このやたらとでかい荷物を背負う羽目になったのだ。

紗耶 「アンタの荷物がなければ、それだけあたしたちの荷物持てるからね」

夏輝 「は、図ったな!」

もも 「恨むなら生まれの不幸を恨むがいいさ」

夏輝 「ジオン公k」

あやめ 「はいそこまで。今から無駄にテンション高いとへばるわよ」

清理 「うむ。山を舐めるでないぞ」

夏輝 「へーい」

「わたしもてぶらですけど、おてつだいしましょうか?」

夏輝 「お前は荷物持てないでしょ」

「そうでした〜」

お前、絶対わざとだろ。

まあ、俺としてはバズーカかロケットランチャーかってくらいデカい何かを背負わされているので、すでに半分くらいへばっているわけだが。

テンション高くしていかないと持ちません。

あやめ 「えっと、確かあそこらへんに……」

あやめ 「あ、あったわ。あそこでいいでしょ」

背景:"森"

あやめさんの指差すところを見ると、道から少しばかり離れたところに、ちょっとした広場のようなところがあった。

確かにあそこなら、テント一つ立ててキャンプはできそうだ。

……テントひとつ?

女性4人と俺一人?

夏輝 「パラダイス?」

紗耶 「何が?」

夏輝 「別に」

「わたしもいますよー?」

夏輝 「お前を頭数に入れるとわけわからなくなるから却下だ」

触れないし。絵に描いた餅だ餅。

「くすん」

紗耶 「夏輝、言っとくけど、アンタは外で寝るのよ」

夏輝 「ですよねー」

まあ、そんなわけはないと思ったけどね。

あやめ 「ちゃんと寝袋は用意してあるから安心して。死にはしないわ」

しくしくしく。

清理 「ふう。さすがに山を登るのは疲れるの」

あやめ 「全くね。足がぱんぱんよ」

「実体があると、それはそれで大変ですねー」

あやめ 「実体がないと、こういうときに便利よね」

「でも、不便もいっぱいですー」

常に便利そうだけどな。

紗耶 「たとえば?」

「おいしいご飯がたべられませんし、おいしいお菓子もたべられません」

あやめ 「それは……問題ね」

紗耶 「そうね……」

そうか?

「なにより、夏輝くんにぎゅーってしてもらえません〜」

もも 「それは大問題だ!」

大問題だな。

紗耶 「そうでもないわね」

ぎゃふん

もも 「おにいちゃん、大丈夫?」

夏輝 「俺を心配してくれるのはお前だけか、ももよ」

ももの優しさに泣きそうだ。

もも 「だって、テント立ててもらわないといけないし」

ももの厳しさに泣きそうだ。

夏輝 「まあ、しゃーない。テント立てるから誰か手伝ってくれまいか」

「はーいはーい」

夏輝 「じゃあ、ロープ持ってくれ」

「できませんー」

夏輝 「いっぺん死ぬか?」

「もう死んでます〜」

紗耶 「冗談になってるんだか、なってないんだか」

「鯵の開き直りですー」

夏輝 「間違ってるから、それ」

あやめ 「あ、それ一人でも立てられるタイプだから大丈夫よ」

夏輝 「がーん」

夏輝 「誰も手伝ってくれないの?」

「はーいはーい」

夏輝 「じゃあロープ」

「持てません〜」

清理 「無限ループって怖いのぅ」

紗耶 「夏輝ぃ……女の子にそういうことさせるつもり?」

ちきしょう。

夏輝 「男女平等だー」

あやめ 「労働の後の食事は美味しいわよ」

夏輝 「横暴だー」

紗耶 「つべこべ言わずにさっさと立てる!」

夏輝 「そうだ! お前らもテント無しで寝ればいいんじゃん!」

紗耶 「あ?」

あやめ 「知ってる? ここって人ほとんど来ないから、遺体を発見されることはまずないのよ」

「夏輝くん、わたしの仲間になりますか?」

あやめ 「いま、その可能性がぐんと高くなったわ」

「嬉しいです〜」

夏輝 「うわああああああああん」

俺がテントを立てる間、暑くて目からずっと汗が流れ続けた。

フェードアウト
フェードイン
背景:山

夏輝 「ふえー。終わったー」

さすがあやめさん。4人くらいなら楽に入れるくらい立派なテントだ。

でも。

夏輝 「どう考えても一人で組み立てるものじゃないよな」

あやめ 「あら? 私いつも一人よ」

夏輝 「あなたは特別です」

あやめ 「ありがと。うふふ」

褒めてないです。

「わー」

夏輝 「どうした?」

「テント、生まれてはじめて見ました」

生まれて、というには語弊があるかもしれんが。

「すごいですねー。立派ですねー」

あやめ 「どこにでも売ってる安物なんだけどね」

「すごいですー。感動しましたー」

あやめ 「ふふ。楓ちゃんも、今日は一緒に中で寝ましょうね」

「わーい! 感激ですー」

そうか。コイツはこんなこともしたことないんだな。

ちょっぴり切なくなるぜ。

紗耶 「さて、そろそろ準備しますか?」

清理 「そうじゃの。じっくりやったほうが良い物になるからの」

夏輝 「何の話?」

もも 「ヒント:山でキャンプです。何をしますか?」

夏輝 「えっと……アタ○ク25?」

もも 「はい3番が赤に変わって4、5、6が赤になる」

夏輝 「上手いな」

もも 「えへへ」

「ごーるでんはんm」

夏輝 「番組が違います」

「くすん」

っていうかお前、よくそんなこと知ってるな。

紗耶 「馬鹿いってないで。カレーよカレー。キャンプで食べるカレーは格別に美味しいわよ」

夏輝 「おお! それは重畳」

もも 「ちょう……たたみ?」

あやめ 「というわけで夏輝くんは、このお鍋いっぱいにそこの川から水を汲んできて」

もも 「無視?」

夏輝 「水って、そのまま飲めるの?」

あやめ 「一応飲めるけど、念のために蒸留するわよ。夏輝に持ってきてもらった荷物に蒸留キットも入ってるわ」

夏輝 「へー」

道理で……テント以外にもやたらと重い何かがいくつかあったと思ったら。

清理 「わっちは気にしたことがないんじゃがの」

あやめ 「念のためよ。夏輝はともかく、皆に万一のことがあったら嫌だからね」

俺はどうでもいいんですか。

あやめ 「ろ過装置もちゃんとあるから安心して」

夏輝 「じゃ、水汲んでくるわ」

「わたしも行きますね」

夏輝 「おう。レーダーがいると有難い」

「えへへ。楓レーダー、始動します」

夏輝 「水源はどっちだ」

「探してきますねー」

レーダーっていうかアナログだよな。

あやめ 「じゃ、頼むわね。その間に火を起こす準備をしておくわ」

夏輝 「頼んだ」

もも 「ねえ、無視?」

フェードアウト
フェードイン
背景:山

水は、こんなもんでいいだろ。

夏輝 「よっと。水って思ったより重いんだよな」

「お水、もってきましたー」

あやめ 「ご苦労さま。火はいつでも起こせるわよ」

清理 「もうすぐ火種が起こせるでの」

あやめ 「清理さん……ライターとは言わないでも、せめてマッチくらいは使いましょうよ」

夏輝 「なにやってんですか?」

紗耶 「清理さんが、木をこすり合わせて火起こそうとしてるのよ」

夏輝 「原始人みたいな?」

清理 「機械はどうも苦手での。わっちはいつもこうして火を起こしておるのじゃよ」

あやめ 「清理さん、これどうぞ」

あやめさんは小さな箱を清理さんに渡した。

清理 「これは……なんじゃ?」

あやめ 「だからマッチよ。これを、こうして、しゅっとやると」

ぼっ

清理 「おおおおおおおおお! こ……これは!」

あやめ 「これなら機械じゃないから清理さんにも使えるでしょ?」

清理 「なんという! このようなものがこの世にあったとは!」

清理さん、あんたいつの時代の人間ですか。

もも 「清理さんはひとつ賢くなった!」

清理 「うむ。これは便利じゃのう」

「文明の利器はたいしたものですねー」

楓、お前もか。

時間経過

まあ、いろいろあったにせよ、なんとか火を起こすことができた。

夏輝 「ってか、着火剤とか使わないんですか?」

あやめ 「あんなもの邪道よ邪道。ちゃんと小さい木から順番に燃やしたほうがキャンプっぽいでしょ」

夏輝 「いやほら、バーベキューとかっていつも着火剤にバーナーでぱぱっと」

あやめ 「まあ……否定はしないけど、私はこっちのほうが好きね。風情があるわ。マッチ一本あれば、あとは現地調達できるから荷物も減るしね」

紗耶 「荷物多くなるの嫌だしね」

蒸留キットとかのほうが遥かにでかいわけなんですが。

と言ってる間にも、順調に火は大きくなっていく。

そして石でできた簡素な土台の上に、水の入った鍋を

あやめ 「その前に、食材に火を通さないといけないわよ」

紗耶 「アンタ、ほんとに料理したことないのね」

夏輝 「サーセンwwwww」

「お料理って楽しいですね」

紗耶 「そう?」

「にんじんさんやじゃがいもさんの形がどんどん変わっていくのが楽しいです」

夏輝 「そっか。楓は料理してるとこ、見たことないんだ」

「はい。出来上がったものしか見たことないんです」

夏輝 「じゃ、包丁で切ることすら新鮮なんだな」

「見てるだけで、とっても楽しいです」

あやめ 「それだったら、いつでも私の家に来るといいわ。いくらでも見せてあげるわよ」

紗耶 「私もよ」

「お邪魔しちゃっていいんですか?」

あやめ 「ええ。一人でやってるより、誰かとお話しながらのほうが料理も楽しいしね」

紗耶 「そうそう。誰かさんみたいに、出来るのを待ってるだけの人もいるけどね」

夏輝 「俺?」

あやめ 「ウチにも一人いるわね」

夏輝 「しくしく」

男は辛いな。豪三郎さん。

「それじゃ、今度お邪魔しますねー」

清理 「さて、あとはわっちらがやっておくから、夏輝どのは少し休んだらどうじゃ? 荷物やらテントやらで疲れたじゃろうて」

夏輝 「そうさせてもらいます」

紗耶 「ほんと貧弱なんだから」

んだとコラ

とは言えない俺ジェントルメン。

夏輝 「ん? ももは?」

あやめ 「テントの中で寝てるんじゃない? 昨日も遅くまで潜ってて疲れてるみたいだし」

夏輝 「そか。じゃあ俺もテントでちょっと横になってくるわ」

紗耶 「言っとくけど、ももに手出したら……わかってるわよね?」

夏輝 「相手がお前だったらぜってーやんねーところだ」

紗耶 「なんですって!」

清理 「あの二人は本当に仲がいいのう」

あやめ 「ほんとにね」

「嫉妬しちゃいますねー」

どこをどう見たらこれが「仲がいい」ように見えるんだろう。

夏輝 「んじゃ、ちょっと横になってくるわ」

あやめ 「出来たら呼ぶからね」

夏輝 「へーい」

さて、テントの中は、と。

ももが可愛い寝息を立てている。

ま、邪魔するのも悪いし寝かせておこうか。

夏輝 「……」

もも 「……すぅ、すぅ」

夏輝 「……」

もも 「ん〜、すぅ」

夏輝 「……」

いかん。眠れない。

べ、別にももがいるからってわけじじゃないんだからね!

紗耶とかでも同じなんだからね!

つか、女の子の隣で寝るなんてかつて有り得ないことであるからして。

とか考えていたら余計に気になって眠れなくなってきた。

ちょっとくらいいたずらしても……

……

……

「じー」

夏輝 「おわっ!」

「紗耶ちゃんに、監視を頼まれたのであります」

夏輝 「な、何もしてねーよ」

「じー」

夏輝 「……信用、ない?」

「はい♪」

夏輝 「しくしく」

……

……

意外とこのテント、寝心地いいな……

フェードアウト
フェードイン

あやめ 「二人とも。準備できたから起きなさい」

夏輝 「んー」

もも 「ふぁ……もうできたの?」

あやめ 「もうって……もうすぐ日が落ちるわよ」

夏輝 「そんなに寝てた?」

あやめ 「二人とも気持ちよさそうに寝てたわよ」

「気持ちよさそうでしたー」

夏輝 「まさかお前、ずっと見てたの?」

「はい。夏輝くんが、ももちゃんの体触ったりしてるのも」

あやめ 「……」

紗耶 「へぇ……」

夏輝 「まままま待て! 断じてそんなことはしてない!」

あやめ 「ふーん……」

紗耶 「へーぇ」

夏輝 「誤解だ! 楓、嘘つくんじゃない!」

「えへへ。嘘ですー」

あやめ 「まあ……」

紗耶 「夏輝なら……」

清理 「やりかねぬのぅ……」

夏輝 「ちょっと待ってくれー!」

もも 「んーっ! よく寝た!」

あやめ 「そんなに寝て、夜寝られなくならない?」

もも 「そんなに子供じゃないもん!」

紗耶 「冷めちゃうから早く来なさい」

夏輝 「へーい。もも、行くよ」

もも 「うん」

フェードアウト
フェードイン
背景:森

夏輝 「うお。すげー匂い」

もも 「おなかへるー」

あやめ 「もう準備できてるから、食べちゃいましょう」

夏輝 「おお。それは重畳」

もも 「ちょう……」

紗耶 「それはもういいって」

もも 「だってだって」

清理 「さ、早く座るのじゃ。わっちらも空腹で倒れそうなのじゃよ」

夏輝 「おお。これは……!」

鼻腔を刺激するスパイシーな香りと、複雑に絡み合って、それでいて美しい色合い。

これはまさに

紗耶 「さっさと座る!」

夏輝 「へい」

グルメごっこ失敗。

しかし……ほんとに美味そうだ。

しかも、ちゃんと楓のぶんまで用意されてる。なんと完璧なんだ。

夏輝 「じゃ、いただきまーす」

あやめ 「いただきまーす」

もも 「いただきまーす」

清理 「いただきまーす」

「いただきまーす」

紗耶 「なんでアンタが音頭取るのよ!」

夏輝 「ハフッ! ハフハフッ!」

夏輝 「うめえええええええええ!!!!11」

あやめ 「清理さんの持ってきてくれたスパイス、かなりいい感じね」

清理 「旅してる間にいろいろ見つけたのでの。役に立ってなによりじゃ」

紗耶 「でもほんと、今まで食べたことないカレーよ。これならお店で出しても行列できるわね」

清理 「あやめどのの腕がいいのじゃよ」

あやめ 「カレーには自信があるけど……でも、ここまで美味しくできたのは初めてよ」

夏輝 「ハフッ! ハフハフッ!」

紗耶 「うるさい! 黙って食べなさい!」

夏輝 「ハフッ!」

フェードアウト

もも 「ちょう……じょう?」

フェードイン
背景:山

夏輝 「ごちそうさまー」

あやめ 「ごちそうさま」

「おいしかったですー」

紗耶 「さ、片付けはももと夏輝に任せるわね」

夏輝 「なんと!?」

あやめ 「当然でしょ? 私たちは作った。あなたたちは食べた」

もも 「ま、それくらいいいよね。美味しかったんだし」

夏輝 「まあ、しゃーないか」

あやめ 「じゃ、私たちは次の準備があるから」

夏輝 「次?」

もも 「ちょっとしたお楽しみー」

「ですー」

夏輝 「何?」

紗耶 「アンタはいいから片付けしてなさい」

夏輝 「へい」

もも 「ゆっくりでいいからね、ゆっくりで」

夏輝 「どういうことだ?」

あやめ 「ま、いいから。楽しみにしてなさい」

清理 「ももどの、頼んだぞ」

もも 「まっかせて☆」

そう言って、皆は森の中へ入ってしまった。

あとに残された俺ともも。

なにやら……不安だ。

夏輝 「何が起こっている?」

もも 「ふへへへ」

夏輝 「なんだその気味の悪い笑いは」

もも 「いいからいいから。ちゃちゃっと洗っちゃおうよ!」

夏輝 「何をわくわくしてるんだか」

もも 「だってだって、すっごく楽しいんだよ!」

夏輝 「だから何が!」

もも 「ナイショ!」

夏輝 「むきー!」

フェードアウト
フェードイン
背景:山
背景:"森夜"

夏輝 「で、あたりはどっぷり暗くなったわけだが」

もも 「暗いねー」

夏輝 「誰も戻ってこないのは何故だ」

もも 「なんでだろうねー」

夏輝 「お前は何かを知っているはずだ」

むにょーん

もも 「いひゃいいひゃい。ほっへはひっはるほやへへよ」

夏輝 「痛い痛い。ほっぺたひっぱるのやめてよ」

こくこく

夏輝 「お前が喋らないからだ」

むにょにょーん

もも 「わはっは。ひゃへるはらやめへー」

夏輝 「わかった。しゃべるからやめてー」

こくこく

夏輝 「で、何が起こるんだ?」

もも 「き……」

夏輝 「き?」

もも 「きもだめし」

夏輝 「は?」

もも 「夏! 恒例! 皆でおにーちゃんを怖がらせよう大会!」

夏輝 「恒例ってか初めてなんですが」

もも 「はつたいけん?」

夏輝 「そういう単語は軽々しく使わないこと」

もも 「はーい」

夏輝 「で、なんだって?」

もも 「そろそろのはずだよ」

夏輝 「だから、何が?」

SE:はぜるような音

ぱーん

夏輝 「ん? 何だ? ロケット花火?」

もも 「あ、合図だ。じゃあ出発しよ!」

夏輝 「出発ってどこに……おい、ひっぱるな!」

もも 「なに? おにーちゃん怖いの?」

夏輝 「べ、別に怖くないけど……そういうお前も足震えてるぞ」

もも 「ボ、ボクは平気だもん!」

夏輝 「そうか。なら問題はないだろう。行くぞ相棒」

もも 「いえっさ!」

フェードアウト
背景:"black"
フェードイン

夏輝 「ところで、懐中電灯とか持ってきてない件について」

もも 「あ、持ってるよ」

夏輝 「早くださんかい」

もも 「ちょっと待ってね……よいしょっと」

背景:山
背景:"森2夜"

夏輝 「足元くらいはなんとか照らせるか」

もも 「ちっちゃいから仕方ないね」

夏輝 「で、どこに行けばいいんだ」

もも 「多分あっち」

夏輝 「多分って……大丈夫かよ」

もも 「自信はないのであります!」

夏輝 「ないのかよ!」

もも 「だってだって。ボクも道とか知らないし」

夏輝 「なんか肝試しっていうレベルじゃねーなこりゃ」

もも 「う……ごめんね……」

夏輝 「ももが謝ることじゃねーよ」

悪いのは多分、紗耶とあやめさんだ。自信ないけど。

とはいえ、このままだと二人で迷子になりかねないな。

……

逆に、俺がももを脅かしてみるか?

もも 「どうしたの? 急に黙っちゃって」

夏輝 「いや、なんでもない」

これで俺が急にいなくなってみると……

俺なんだかワクワクしてきたぜ!

よし。早速。

ももが俺の前にいる間に……

そろりそろり。

もも 「おにい……ちゃん?」

ふと気づいたももが、きょろきょろと辺りを見回す。

俺は木の陰に隠れて様子を伺っている。

薄暗くてよく見えないが、ももはかなり焦った表情っぽいな。

なんだか楽しくなってきた。

ももはきょろきょろと俺を探している。よし、ももがもう少し近くに来たら脅かすか。

もも 「おにいちゃん? どこいったの?」

もう少し。あとちょっと。

あと3歩……2歩……

今だ!

夏輝 「ば」

SE;がさっ

もも 「ひっ!」

夏輝 「のわああああああああっ!」

唐突に、俺の足が何かに引っ張られ、そのまま俺は木に宙吊りになってしまった。

夏輝 「なななななな何が起こった!?」

もも 「おにいちゃん、どうしたの!」

ももも慌てた様子だが、俺も正直、なにが起こったのかわかんねぇ。

ちょっとだけ落ち着いて見てみると、俺の足がロープに縛られて、木にぶら下がっている状態だ。

まるで、典型的なブービートラップのような……

ん?

夏輝 「あやめ……姉か?」

もも 「おねえちゃんがどうしたの?」

夏輝 「これを仕掛けたのはあやめ姉に違いない」

こんな芸当を持ってるのは、あやめ姉以外にありえない。

もも 「あ、そっか」

そっか。じゃねぇだろ。

あやめ 「あら、バレちゃった?」

ガサガサと森の中から、あやめ姉がひょっこり顔を出す。

あやめ 「でも、びっくりしたでしょ?」

あやめさんは木に括りつけられていたロープを解いて、ようやく俺は自由の身になった。

夏輝 「びっくりはしましたけど、これは……肝試しとは違いますよね」

あやめ 「霊より現実のほうが怖いものよ」

と言われましても。

あやめ 「じゃ、あと頑張ってね。私はももと一緒に帰るから」

もも 「頑張ってねー」

夏輝 「え? こっから俺一人?」

あやめ 「あとの二人を倒さないと未来はないわよ」

あと二人……清理さんと紗耶か。

しゃーない。行くしかないか。

フェードアウト
背景:山
背景:"森3夜"

行けども行けども何もおこらず。じっと手を見る。

道……間違えたのかな。

おいらだんだん心細くなってきたよ。

夏輝 「誰か……いる?」

しーん。

誰もいないよな……

立ち絵:幽霊さん

?? 「……」

立ち絵:消す

夏輝 「……?」

立ち絵:幽霊さん

?? 「……」

立ち絵:消す

夏輝 「今の……何?」

なんかそれっぽいのが居たような居ないような。

立ち絵:幽霊さん

?? 「……」

立ち絵:消す

夏輝 「楓だろ? わかってんだよ。早く出て来いよ」

立ち絵:幽霊さん

?? 「……呪マース」

立ち絵:消す

夏輝 「ごめん。呪わないで。こっちこないで」

立ち絵:幽霊さん

?? 「……」

立ち絵:消す

夏輝 「ウヒ」

こ……これは夢だ。夢に違いない。

そうさ。これは俺が誰かから電波を受信しただけだ。そうだ。ありえないものを精神が錯乱されてお

られるから変なものが見えちゃったり

立ち絵:幽霊さん

?? 「……」

立ち絵:消す

夏輝 「本物……ですよね」

立ち絵:幽霊さん

?? 「……コクリ」

立ち絵:消す

夏輝 「幽霊さん……ですか」

立ち絵:幽霊さん

幽霊 「……コクコク」

立ち絵:消す

夏輝 「楓じゃ、ない……ですよね」

立ち絵:幽霊さん

幽霊 「……コクコク」

立ち絵:消す

夏輝 「まさかとは思いますが、とりついたりしませんよね?」

立ち絵:幽霊さん

幽霊 「……フルフル」

立ち絵:消す

夏輝 「とりつく?」

立ち絵:幽霊さん

幽霊 「……コクリ」

立ち絵:消す

夏輝 「逃げてえええええええええっ!俺逃げてえええええええええええええええええええええええっ!」

SE:ずどどどどどどど

フェードアウト
背景:"珍川夜"
背景:山

夏輝 「はぁ……はぁ……ここまで来れば……大丈夫だろ……」

紗耶 「ちょっとアンタ。走ってくるなんて卑怯よ!」

夏輝 「はぁ……紗耶か。脅かすなよ」

紗耶 「まだ準備終わってないってのに。これじゃ興ざめだわ」

夏輝 「んなこと言ったって……」

立ち絵:幽霊さん

幽霊 「……」

立ち絵:消す

夏輝 「ああいう人がいらっしゃるから……」

紗耶 「何? 今の……」

立ち絵:幽霊さん

幽霊 「……」

立ち絵:消す

夏輝 「だから、ああいうのがいたから逃げてきたんだって」

紗耶 「ちょっと……アレ……」

夏輝 「ん?」

立ち絵:幽霊さん

幽霊 「……呪マース」

立ち絵:消す

夏輝 「ひぃやああぁぁぁぁぁ……」

紗耶 「ひぃやああぁぁぁぁぁ……」

フェードアウト
背景:"森3夜"

清理 「冗談のつもりで来ていただいたんじゃが……ちとやりすぎたかの?」

「あはは。やりすぎちゃいましたー」

清理 「ま、わっちは楽しかったから、これで良しとするかの」

「良しとしましょー」

清理 「うむうむ」